観光のエキスパート 若杉 清一

観光を切り口につくる
住み続けたいふるさと。

訪日外国人観光客数(インバウンド)は2013年に1000万人を突破、2015年には1973万7000人となり、日本からの海外旅行者(アウトバウンド)を逆転しました。政府は2020年に4000万人を目標値とし、このうち500万人が北海道への旅行者として見込まれています。一方、北海道を訪れる国内旅行者は、数は減少傾向にあるものの、農業、漁業、家業を体験してもらう、地方の資源を生かした学習・体験型滞在が修学旅行などでも人気となっており、いち早く取り組んだ町の成功例がいくつもあります。

私が考える観光を切り口にした町づくりの基本は、単にツアーを組み人を呼び込むといった一過性のものではありません。本気で町の魅力を掘り起こし、自然や人の営みをそのまま資源として活用し、町全体を商品にし、経済効果を生み、働きがいをつくり、地域を元気にすることです。外からの視点を取り入れることで、住民があたりまえと思っていた風景に「たからもの」としての価値を発見することは、地元への愛着を醸成するでしょう。愛着はさらに町の魅力に磨きをかける行動へつながり、好循環が生まれるはずです。

ふるさとへの熱い思いを
空回りさせない。

日本版DMOが増えています。地域の課題解決には、多彩な分野のプロが連携してあたるべきと考える私の出番が来た、と自負しています。現場で一緒に課題を整理し、力強い解決策を導き出し、その実行に必要なネットワークを結ぶ、それが私の得意とするところです。

キャリアとしては道外経験の長い私ですが、道外で地域づくりにも関わる仕事を進めることは自分の中の郷土愛を強く意識することにつながりました。いかに北海道、中でも地方が儲け損ねているかが見え、可能性を生かせていないことにはがゆい思いを抱きました。そして北海道に拠点を移したいま、知識、人的ネットワーク、ノウハウ、これまで得たすべてを北海道の未来づくりに役立てられたら、こんなにうれしいことはありません。「自分がやらなきゃ、誰がやる」の気概でふるさとの未来を真剣に考えながらも、問題に直面し悩んでいる方はたくさんいるでしょう。力強い解決策への起爆剤として、私と食彩創研を、ぜひ有効活用していただきたいと思います。

※日本版DMO(Destination Management Company)は地域の稼ぐ力を引き出し、地域の誇りと愛着を醸成する観光地域づくりの舵取り役として多様な関係者と協同し、調整機能を備えた法人。

若杉 清一

若杉 清一
WAKASUGI Seiichi

北見市生まれ。

(株)リクルートで支社長、通信事業部総合企画室長、(株)リクルートコスモス広報室長を歴任後、岩手県安比高原のリゾート開発・運営にあたる。

1998年(平成10)秋田県の招聘を受け、(株)秋田ふるさと村の代表取締役専務に就任、第3セクター再建に尽力。テーマパーク「秋田ふるさと村」は債務超過の危機から3年で黒字化、8年間の在任中に累損も解消した。

2001年(平成13)〜2012年(平成24)田沢湖高原リフト(株)代表取締役。恒常的な単年度赤字の「たざわ湖スキー場」を顧客満足度向上の取り組みで日経新聞のスキー場ランキング5位に押し上げ、黒字化。

2009年(平成21)〜2011年(平成23)秋田内陸縦貫鉄道(株)代表取締役社長。民間初の経営責任者として再建にあたり、危機脱出には及ばなかったものの年間4億の赤字を半分にまで圧縮した。

2012年(平成24)〜2017年(平成29) (株)ビックカメラ法人営業部門顧問

2013年(平成25)、これまでの経験をふるさとの振興に生かしたいと、浅野裕紀、斉藤博之と共に(株)食彩創研を立ち上げ代表取締役就任。

2017年(平成29)〜 (株)北海道宝島旅行社観光地域づくり事業部エグゼクティブプランナー。

これまで主に東北で観光、まちづくりに関わる数多くの公職に就いてきたが、現在は、
秋田県横手市観光振興計画策定委員長
農水省「馬の利活用調査検討事業」観光・地域振興部門委員長

浅野 裕紀 斉藤 博之