物流のエキスパート 斉藤 博之

物流は情報処理、
ノウハウを生かします。

首都圏から遠く、広大な土地にまちが点在する北海道は、その地理的条件から物流コストが高くなり、競争力低下の要因の一つとされます。私自身、これを物流システムの工夫と地域の連携で解決することを自らに宿題と課し、取り組んできました。1カ所あたりの荷物量が少なくても、くまなく各地の特産物を集める仕組み、さらに鮮度を保持して長距離を運ぶ仕組みを確立できれば、届ける先は、国内か海外かも含め大きな問題ではなくなり、北海道の食材を売り込む選択肢は格段に広がります。元々、温度管理下での運送を得意としてきましたが、さらに北海道の戦略プロジェクトの一つ、新千歳空港の「国際エアカーゴ構想」と連動して高い鮮度保持機能を持つ特殊氷製造装置を導入しました。北海道の食材が高く評価されているアジア各国へ鮮度を保ったまま空輸、コールドチェーンのない国への到着後も鮮度が管理できるシステムを構築中です。地方にはハードルの高かった輸出も、こうしてどんどん身近になっています。

同時に、輸送コストや手数料をかけて外で売るのではなく、自慢の特産品を買い求めに町に足を運んでもらえる仕掛けを考えることもしています。

物流が扱うのは、目に見えるモノ以上に情報です。私は、「物流は情報処理」ととらえています。その視点や発想、ノウハウが、一見物流には無関係な課題に対しても意外なところに風穴を開け、新たな道を示すことがあります。観光のプロ、食のプロ、2人の大先輩とのシナジー効果に期待していただきたいと思います。

「本気」と出会い、
つなげたい。

いままでとは違う何かをしようというとき、誰に出会えるかは重要な鍵となります。私自身、食のエキスパート・浅野さんとの出会いをはじめ、新たな出会いと、そこから多方面に派生する人とのつながりで活動の幅を広げ、成長することができました。ですから、食彩創研で地元を愛する人と人、思いと思いをつないでいきたい。それが地元を背負って立つ人づくりにもなると思います。

誰かから与えられるのを待つのではなく、地元のために自らが動く「本気」には、私も本気で向き合います。いつの時代も、人を動かすものは人の気持ちです。我々の世代が共に考え、汗をかき、北海道の活性化に取り組む姿は、次の世代にかけがえのないふるさとの誇りを刻むことになると思っています。

若杉 清

斉藤 博之
SAITO Hiroyuki

登別市生まれ。

自動車整備士、自動車販売の営業を経て、24歳で運送会社のトラックドライバーに。道外メーカーより北海道に上陸した商品を道内各地の卸業者に届ける2次物流を担当していたが、同じ卸業者に届けるアイスクリームがメーカーごとにばらばらに物流拠点に運ばれてくることで温度管理ができず品質劣化を招いていることに着目し、1998年(平成10)29歳で北海道物流開発(株)を起業。アイスクリームに「鮮度」の概念を持ち込む。

現在は北海道物流開発(株)代表取締役会長。同社はハイクオリティな低温物流で国内最大手のメーカー、小売などをクライアントとしている。また、同社の車両部門である(有)エイチケービーサービス、人的業務をサポートする(株)エイチビーケーサポートワークのグループ企業を率いる。

超微細氷製造装置の開発で、北海道の食材の鮮度を維持したまま長距離・長時間移動を可能にし、シンガポールを中心にアジアへ、北海道の食材を届ける事業展開を図っている。

2013年(平成25)、ずっと住み続けたい北海道へ、人づくりと物流の面で貢献したいと、若杉清一、浅野裕紀と共に(株)食彩創研を立ち上げ取締役就任。

2016年(平成28)、かねてより準備を重ねていた札幌商工会議所青年部を発足に導き、初代会長に就任。

若杉 清一 浅野 裕紀